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  魂の記憶<98・7・25>
         
​1998年 六甲野外彫刻展(神戸市)

  この作品は1997年1月17日に起きた阪神淡路大震災により、自宅を失った多くの人達が仮設住宅に入居して暮らしている時期の作品です。最初、会場となる六甲アイランド先端のこの海辺の場所を訪れた時、付近にはたくさんの仮設住宅があり、そしてこの仮設住宅で孤独死した人たちが220人という状況でした。こうした現実の中でこの場所でアートで何ができるのかを考えて生まれた作品です。

 鉄骨のフレームは仮設住宅1戸分です。この中に仮設住宅の外に敷かれていた砕石を床に敷き詰め、病院用のベッドを4台置いて、その上に石を載せコールタールで不定形な染みを描きました。石は人間を、黒い染みは血液または孤独死した人の無念の想いとも考えられます。私達はこの作品をそうした人々への鎮魂歌として造りました。

 案作成、作品製作はともに井上凱彦ですが、井上廣子ひとりの名前で発表されたため彼女の出世作となりました。  

​イメージスケッチ
​1997年 ラ・フェニーチェ(大阪市)
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