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  記憶・境界・不在
         
​1997年 アートフォーラム谷中(東京)

 精神病患者は、精神病院という収容施設が出来たから生まれた。というミッシェル・フーコーの有名な言説があります。それまで日常的に社会の中で共生していた狂気が病院に隔離されることにより患者が生じたということですがそうした患者といわゆる普通の人々の差がどれだけあるのでしょう。病院の窓で隔てられた時、その区別が歴然としますが、その内と外ではどちらが狂気なのでしょうか。それは狂気という言語の不在を示しています。

 精神病院の窓の写真他を布に転写してライトボックスに張り、闇に浮かべることによりそういう問いかけをしています。このテーマはベンサムの「パノプティコン」一望監視施設といわれる施設全般にあり、現在管理社会がますます進む中でその是非を問いかけるものでもあります。右下の作品は精神病患者の遺品をお借りして展示したものです。

​ これらの作品のコンセプトは井上凱彦が考え、廣子を指導しながら共同撮影をして製作したもので、ジェンダーの美術関係者に好評でした。

​1997年 大阪現代美術センター(大阪)
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